2011年6月4日土曜日

「The Kingdom of San d'Oria」

それは僕がヴァナ・ディールに降り立って間もない頃の話…

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「こんばんわ」

南サンドリアから北サンドリアへ抜ける凱旋門で僕は声を掛けられた。
声の方を振り返るとそこにはヒュームの女性が立っている。 
知らない顔だ。
そもそも僕がこのサンドリア王国に居を構えて日が浅く知り合いなどいない。

「こんばんわ」

ぎこちなく挨拶を返す。
見ず知らずの僕に声を掛けてくる真意を図りかねていると彼女はじっとみつめてきた。
それで彼女には僕が駆け出し冒険者であることが分かったであろう。
何しろサンドリア王国に冒険者として登録した際に貰った安物の服に安物の剣。
そろそろ盾も欲しいところだが、まだそれを買えるだけの金がない。 

冒険、しませんか?」 

彼女はにこりと微笑むと唐突にそう言った。
それがドジっ娘天然黒魔道士のセリフなら何の躊躇もなく頷いただろう、僕の趣味嗜好的に
しかし、彼女は剣を携えていることから黒魔道士ではなさそうだし、ドジっ娘のオーラも感じられない。
なにより彼女の服、剣そして盾はサンドリア王国でそれなりの戦績をあげた者のみが持つことを許される品のようだ。 
僕と同じ戦士だろうか?
そもそも戦士がナンパするのは白魔道士と相場が決まっている。 
かなり格下の戦士に声を掛けるなんて、やっぱり天然
だけど、彼女の言う『冒険』が何なのか僕はとても気になった。

「はい、お願いします」
「じゃあ明日の夜、ここで待ち合わせしましょ」 

そう言うと彼女は凱旋門を抜けて北サンドリアのモグハウスの方へ駆けて行った。


To Be Continued…
 

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